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経営戦略

DS Transformation A Bridge to Tomorrow がんに強みをもつ先進的グローバル創薬企業

第一三共グループは、「2025年ビジョン」として「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を目指すこととしています。2025年において、がん事業を中心とするスペシャルティ領域を中核事業とし、各国事業に適合したリージョナルバリュー製品を豊富に持つこと、さらに、SOC(Standard of Care:標準治療)を変革する先進的な製品・パイプラインが充実している姿を目指しています。

Transformation イメージ図

では、具体的にどのような取り組みを進めていこうとしているのでしょうか。ここでは、5つの切り口から経営戦略のポイントを紹介していきます。

  1. 戦略 1 エドキサバンの成長

    グラフ

    循環器領域では、従来、血栓塞栓症(血栓により血管が詰まる病気)を予防・治療する薬剤としてワルファリンが使用されてきましたが、近年、DOAC(新規経口抗凝固薬)と呼ばれる薬剤が各社から発売され、市場が拡大しています。DOACの市場は、グローバルでは1兆1,000億円規模(2015年)になっていますが、ワルファリンと切り替わる余地がまだ大きくあると考えられています。
    第一三共が販売するエドキサバン(日本での商品名リクシアナ)もDOACの一つで、高い安全性と利便性(1日1錠)を実現しており、日本ではNo.1のDOACに育成することを目標にしています。また、欧州ではMSD社と販売提携し、西欧は第一三共、北欧・東欧はMSD社が中心となって販売しています。さらに米国では、ターゲットを絞った処方の獲得、その他の地域でも早期の承認・上市を目指しています。これらの取り組みを進めることで、グローバル製品へと成長させていく計画です。

  2. 戦略 2 がん事業の立ち上げ・確立

    グラフ

    第一三共では「2025年ビジョン」において、「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を目指すことを掲げています。2025年においては、がん事業を中心とするスペシャルティ領域を中核事業とすると定めており、がん事業の立ち上げ・確立に向けて全力で取り組んでいるところです。
    具体的には、後期開発品の上市によってがん事業を立ち上げることが重要で、第Ⅲ相試験に入っている3品目と第Ⅱ相試験に入っている1品目の開発に注力していきます。また、第一三共では、2009年以降、がんに対する創薬研究に資源を集中投入してきた成果により、SOCを変革しうる初期開発品が多数そろってきました。これらの着実な開発推進に取り組みます。さらに、外部資源の獲得による製品・パイプラインの充実、新組織によるがん研究開発の加速にも取り組んでいきます。

  3. 戦略 3 日本No.1カンパニーとしての成長

    ネキシウム(抗潰瘍剤:プロトンポンプ阻害剤)
    • GERD*治療の第一選択薬のポジション確立によるNo.1シェア堅持
    メマリー(アルツハイマー型認知症治療剤)
    • エビデンス普及を通じた、中等度以上アルツハイマー型認知症の
      コリンエステラーゼ阻害薬との併用療法標準化
    プラリア(骨粗鬆症治療剤)
    • イドラインで高く評価された位置付けを訴求し、さらなる市場浸透を拡大
    • 関節リウマチへの適応拡大によるさらなる成長
    ランマーク(がん骨転移による骨病変治療剤)
    • がん骨転移による骨病変治療の標準治療薬としてのポジション堅持
    • 乳がんへの適応拡大によるさらなる成長
    エフィエント(抗血小板剤)
    • 心臓領域:日本人に適した用量設定の普及による圧倒的シェアNo.1の堅持
    • 脳領域への適応拡大により日本の次世代抗血栓治療をリード
    テネリア(2型糖尿病治療剤)
    • 高齢者・腎機能低下患者での使いやすさと有効性を訴求し、
      糖尿病治療のファーストラインとしてシェア拡大

    Gastroesophageal Reflux Diseaseの略。逆流性食道炎を含む胃食道逆流症

    日本においては、イノベーティブ医薬品事業の強みを活かし、そこにジェネリック医薬品事業、ワクチン事業、OTC医薬品事業の3事業を加え、予防、セルフメディケーション、治療までのさまざまな医薬ニーズに広く的確に対応することにより、名実ともにNo.1カンパニーとして成長することを目指しています。
    ネキシウム(抗潰瘍剤:プロトンポンプ阻害剤)、メマリー(アルツハイマー型認知症治療剤)、プラリア(骨粗鬆症治療剤)、ランマーク(がん骨転移による骨病変治療剤)、エフィエント(抗血小板治療剤)、テネリア(2型糖尿病治療剤)の6剤を主力商品とし、さらに、幅広い領域で新製品を上市していく計画となっており、切れ目ない製品ラインナップの強化で、日本No.1カンパニーとして成長していこうとしています。

  4. 戦略 4 米国事業の拡大

    重要な成功要因と主な戦術
    モバンティック(オピオイド誘発性便秘薬)
    • オピオイド誘発性便秘の認知度向上
    • オピオイド誘発性便秘を日常的な関心事へ啓蒙
    • リーズナブルな価格・保険償還
    CL-108(制吐剤配合オピオイド鎮痛剤) 2017年度上市予定
    • 医療関係者のオピオイド誘発性悪心
    • 嘔吐への認知度向上
    • 医学界との連携
    ミロガバリン(神経障害性疼痛治療薬) 2019年度上市予定
    • フェーズ3試験データに基づいたプレガバリンとの差異化
    鉄注射剤フランチャイズ
    • インジェクタファーを旗艦製品・市場リーダーへ育成(年平均成長率 20 ~ 30%)
    • LCM*の遂行
    • プロモーション対象を鉄欠乏性貧血を扱う心臓専門医、産婦人科医などへ拡大
    • 血液・がん科領域における市場シェア40%以上
    ジェネリック注射剤 フランチャイズ
    製品ポートフォリオの拡大・最大化
    • 市場価値の高い製品に注力(例: 抗がん剤)
    米国ジェネリック注射剤市場でトップ4サプライヤーの1つへ成長
    • シャーリー工場:既存製造設備のアップグレード
    • ニューアルバニー工場:業務統合の推進、製造能力の拡張
    • ヒリアード工場:スペースを最大活用した製造能力の拡大

    Life Cycle Managementの略。適応症の拡大や剤形の追加、用法・用量の改善によって医薬品の製品価値を高め、製品の寿命を伸ばすこと

    米国の第一三共Inc.では、疼痛領域での事業拡大に注力します。米国の疼痛市場は約3兆3,600億円の規模があり、オピオイド製剤がそのうちの40%以上を占めています。第一三共Inc.では、がん以外の慢性疼痛治療を目的にオピオイド製剤を処方された成人患者さんを対象としたオピオイド誘発性便秘薬モバンティックを販売しています。オピオイド製剤を投与された患者さんの約40%は、オピオイド誘発性便秘を経験することから、大きなアンメットメディカルニーズがあると考えられます。
    また、中等度から重度の疼痛とオピオイド誘発性悪心・嘔吐の抑制を目指した制吐剤配合オピオイド鎮痛剤CL-108の承認申請を行いました。さらに、神経障害性疼痛治療薬ミロガバリンも開発中で、2019年度の上市を目指しています。一方、米国のもう一つの子会社であるルイトポルドでは、鉄注射剤のインジェクタファーとジェネリック注射剤で、トップ4サプライヤーの1つへ成長することを目指しています。

  5. 戦略 5 SOCを変革する先進的医薬品の継続的創出

    グラフ

    第一三共では、がんを重点領域に定めるとともに、疼痛、中枢神経疾患、心不全・腎障害、希少疾患を次世代領域と位置づけて、これらの疾患に対する治療薬の研究開発を重点的に推進しています。パートナリング、オープンイノベーション*1、トランスレーショナルリサーチ*2といった手法も活用して、SOCを変革する先進的医薬品の継続的創出を目指しています。
    また、2016年4月から研究組織をバイオベンチャーモデルに転換しました。これは領域ごとの小組織を作り、 研究テーマに関する意思決定権を与え、成果に応じたリソースを配分することで、ベンチャー的なマインドを活性化させ、研究スピードを高めようとするものです。さらに、ADCC(Antibody Dependent Cellular Cytotoxicity:抗体依存性細胞傷害)、ADC(Antibody Drug conjugate:抗体薬物複合体)、核酸医薬*3、バイスペシフィック技術*4、細胞治療*5など先進的なバイオ基盤技術を応用した研究・開発にも取り組んでいます。

    1. 外部の開発やアイデアを活用することで自社の課題を解決し、革新的で新しい価値を生み出す手法
    2. 新しい医療を開発し、臨床の場で試用して、その有効性と安全性を確認、日常医療に応用していく一連の研究過程
    3. 遺伝子を構成する核酸を用いた医薬品
    4. 2種類の抗原の作用を同時に阻害する技術
    5. ヒトの細胞を対外に取り出し、選別、活性化、増幅、分化などの処理を行った後に患者さんに投与することを通じてさまざまな疾患を治療する方法

国内における多様な 医療ニーズに応えるビジネスモデル

ビジネスモデル