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経営戦略

世界には未だに治療満足度が不十分であったり、治療方法が確立していない多くの疾病が存在しています。第一三共は新薬メーカーとして人々の健康で豊かな生活に貢献するために、市場規模が大きい日本・米国・中国を中心に、グローバルに革新的な医薬品を提供すべく取り組んでいます。
また日本においては、高齢化の加速による医療費増加により、国が主導した医療費抑制施策が展開され、安価な「ジェネリック医薬品」や予防のための「ワクチン」、セルフメディケーション推進のための「OTC医薬品」の存在価値が高まっています。第一三共グループは新薬事業を中核としながら、その研究開発力・生産技術力・マーケティング力を基盤として、日本の健康・医療の多様なニーズに応えます。

多様な医療ニーズに応えるビジネスモデル

イノベーティブ医薬品

革新的な医薬品を生み出すことは、創業以来の第一三共の価値ともいえる事業の中核。急速に変化する時代の中でも、それは変わることはありません。未だ解決されない医療ニーズに応えることは、第一三共の使命です。新薬が研究から世の中に出ていく確率は30,000分の1、決して簡単なものではありません。トライアンドエラーを繰り返しつつも、研究開発を前に進め、継続的に世の中に新薬を送り出すことにこだわります。その研究開発の結果、第一三共グループは、これまでに高脂血症治療剤「メバロチン」や抗菌製剤「クラビット」を中心に競争力ある医薬品を世界へ展開し、現在はグローバル製品の高血圧症治療剤「オルメテック」や、国内におけるアルツハイマー型認知症治療剤「メマリー」、骨粗鬆症治療剤「プラリア」、逆流性食道炎等治療剤「ネキシウム」といった幅広い医薬品で医療現場に貢献しています。
さらには、抗血栓薬市場に着目し、研究開発に注力した結果、抗血小板剤「エフィエント」を2009年に、抗凝固剤「リクシアナ」を2011年に発売。これまで治療が難しかった脳塞栓や心筋梗塞の治療レベルの向上に寄与し、血栓症治療におけるグローバルリーダーとなることを目指しています。

ジェネリック医薬品

新薬は、その有効成分(化合物)を発見して研究を始めてから約20年間は特許に守られますが、その期間が満了すると、特許権を持たない他の企業もその医薬品と同じ成分を有する医薬品を製造販売することができるようになります。これをジェネリック医薬品(後発医薬品)と呼び、先に発売された新薬に比べて、一般的に価格が安いことが特徴です。近年、日本においては医療費抑制策の一環として国が主導でジェネリック医薬品の普及を進めており、市場が拡大しつつあります。第一三共では、こうした中での事業機会を獲得すべく、2010年4月に「第一三共エスファ」を設立しました。
「第一三共エスファ」は、新薬メーカーとしてこれまで培った技術とブランドによる信頼や安心をベースに、第一三共グループ内での企業間連携により患者さんに選ばれるジェネリック医薬品の提供を目指しています。特に「品質」の面では錠剤の両面に薬剤名・会社名を印字したり、PTPシート裏面に1錠分ずつバーコードを印刷するなど、飲みやすく、飲み間違いが起こらないような工夫を世界で初めて実施しました。今後も、ブランド力と優れた付加価値を兼ね備えた「プレミアムジェネリック」の普及を通じて、ジェネリック医薬品のマーケットリーダーになることを目指します。

ワクチン

2009年に発生した新型インフルエンザの世界的大流行を契機に、パンデミックに対する警戒と、予防医療の重要性に対する認識の向上から、ワクチンへの医療ニーズはますます高まってきています。これまで日本においては、先進国で感染症予防に効果を上げているワクチンの導入・普及に課題がありましたが、この状態を解消すべく産業強化のための方策が国から示され、新規ワクチンの承認や発売、定期接種化が推進されており、欧米諸国などとのワクチンギャップも解消されつつあります。
第一三共は、ワクチンの研究、初期開発、流通などに取り組むとともに、2010年7月に、北里研究所と国産のワクチン製造を担う「北里第一三共ワクチン」を設立。さらに2012年4月には、ワクチンの研究開発で世界をリードするグラクソ・スミスクラインとワクチンの後期臨床開発、マーケティング、営業機能を担う「ジャパンワクチン」を設立。研究から販売までの全ての過程を第一三共グループで一貫して行えるフルライン体制を構築し、国内の予防医療環境の充実と普及に努めてきました。
高品質なワクチンを安定供給すると共に、公衆衛生や予防医療環境の充実・普及、更にはパンデミックに対する危機管理体制整備に率先して取り組み、乳幼児から高齢者まで幅広い人々を感染症から守ることで、健やかで安心できる社会の形成に貢献します。

OTC医薬品

OTC医薬品とは、薬局やドラッグストアなどで自分で選んで購入できる「一般用医薬品」を指します。英語の「Over The Counter」の略で、カウンター越しに薬を販売するということを意味しています。平均寿命が世界のトップクラスである日本は、高齢化社会からくる医療費抑制の動きの中で、国がセルフメディケーションの推進を掲げています。第一三共グループでは、OTC医薬品に加えて、機能性スキンケア・食品等も含めたヘルスケア事業をコア事業のひとつと位置づけており、グループ会社である「第一三共ヘルスケア」がこれを担って、様々なニーズに応えています。
2009年6月に行われた法改正により、今後はコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの異業種企業の新規参入増加や、スイッチOTC開発の進展が見込まれています。スイッチOTCとは、今までは医師の診断により医療機関が発行する処方箋がないと手に入らなかった医療用医薬品が、副作用の心配が少ないなどの要件を満たすことで、薬局などの店頭で処方箋なしに購入できるOTC医薬品へスイッチしたもののこと。2010年1月には、安全性と効果に対する実績がある第一三共の医療用医薬品「ロキソニン」(鎮痛剤)がOTC医薬品「ロキソニンS」として承認され、ドラッグストアなどで直接購入できるようになりました。また、スキンケア領域においては、2007年に肝斑(シミ)を改善する「トランシーノ」を発売。「トランシーノ」は第一三共が開発した医療用医薬品の成分を用いてつくられたOTC医薬品です。2012年3月には韓国、6月には台湾でも販売しています。現在はトランシーノブランドとして、シミやそばかす、美白に対応する製品も販売しており、アジア圏の女性の様々なスキンケアニーズに応えます。
このように「第一三共ヘルスケア」は、業界を主導していく「トータル・ヘルスケア」企業として今後も更なる成長を目指します。

※ セルフメディケーション:普段から自分自身で健康管理を行い、軽い症状であれば自らの判断でOTC医薬品(一般用医薬品)やサプリメントを服用するという考え